映像制作にかかる費用とは?料金の相場や抑える方法をご紹介!
ビジネスにおいて宣伝や広告、プレゼンなどの場で映像コンテンツは欠かせないものになりつつあります。動画は短い時間で多くの情報を届けられ、記憶にも残りやすく、拡散力も併せ持っています。運用方法によっては大きな利益が得られることも期待できるでしょう。今回はそんな映像制作にかかる料金相場やコストを抑える方法をご紹介します。
もくじ
映像制作にかかる料金相場
映像制作の費用は、制作にかかわる人数や時間、制作工程によって変動します。費用の内訳としては、人件費、撮影機材、交通費、編集ソフトウェア費などが挙げられます。そのほかに小道具を使う場合には美術費、音楽を入れる場合には音楽制作費や音楽使用料がかかります。
また、CGを用いて表現する場合にはCG製作費も当然かかってきます。また、各種メディアに納品する際にプリント代やコーディング代などがかかる場合もあります。屋外で撮影する場合にはロケハン費用、屋内で撮影する場合にはスタジオ費用と、撮影のための場所の確保にもコストがかかります。
このうちもっとも内訳が大きいのは人件費です。映像制作は大きく分けて「企画」「撮影」「編集」の3つの作業があります。各段階に共通しているのは、人の手を使って作業するという点です。
企画段階ではプランナー、編集ではエディター、撮影では演出家やカメラマン、音声録音、ライトマン、演者(キャスト/エキストラ)、スタイリスト、美術デザイナー、運転手といった各スタッフに人件費がかかります。
また、映像撮影を管理するプロデューサーも必要です。撮影が大規模になるほど大勢のスタッフが関わってくるため、人件費にかかる費用も膨大になります。
人件費はスタッフの役どころと動画の長さによって変動します。たとえば企画に欠かせないプランナーは、15秒の動画で3万円、30秒の動画で5万円からが一般的で、それ以上になると10万円以上を見込む必要があります。プロデューサーであれば1日撮影する場合10万円から100万円が相場です。
YouTubeやSNSの普及により、映像コンテンツでのプロモーションが主流になっています。より完成度の高い効果的な映像を制作するためにプロに依頼する方も多いです。
映像制作にかかるコストは、依頼先、作業工程、映像の用途などで大きく異なります。相場がわかりにくいため、どこにどの程度の予算が妥当なのか把握しておくことが重要です。
映像制作の相場
映像制作はコンテンツの種類別で制作費が大きく変わります。一般的な制作費用の相場の一覧表と、それぞれの費用について詳しく解説します。
相場一覧表
映像の用途や目的別での費用相場の一覧を下に示します。
映像の用途・目的 | 映像制作の費用相場 |
---|---|
広告(CM) | 50〜500万円 |
会社・事業紹介 | 50〜200万円 |
商品・サービス・アプリ紹介 | 30〜100万円 |
お客様の声・インタビュー | 30〜100万円 |
マニュアル | 30〜80万円 |
施設・学校紹介 | 50〜200万円 |
採用 | 50〜200万円 |
教育研修 | 30〜80万円 |
社員総会・イベント | 50〜200万円 |
IR | 50〜150万円 |
展示会 | 50〜200万円 |
セミナー | 30〜80万円 |
映像制作では用途別で種類が分かれ、それぞれの費用相場の幅も広いです。用途別の制作費の差は作業工程や依頼先なども関係しますが、まずはそれぞれの映像の目的や効果を解説します。
また、相場は一般的な目安であり、特殊な技術を取り入れたり、演出や出演者によっても高額になったりするため、必ず相場内に収まるとは限りません。
広告(CM)
広告映像は、商品やサービスを10〜30秒程度で伝える企業映像です。消費者やユーザーへの商品の訴求効果が高く、テレビCMやオンライン上のWebCMとして広く活用されています。
テレビCMは短時間でよりインパクトを与える必要があるため、クオリティの高い制作技術が求められます。有名なタレントや人気の俳優を起用すれば出演料としてのコストがかかります。
一方、YouTubeなどのオンライン上で流れるWeb CMは、一般的にテレビCMより手頃な費用で依頼できます。その分、映像時間が長くなるとコストがかさみます。
会社・事業紹介映像
会社の知名度を上げたり、事業内容の理解を深めたりすることを目的に作られる紹介映像では、要点をまとめ5〜10分程度に収めることが多いです。
それほど凝った演出や編集を必要としなければ、撮影や編集にかかるスタッフや機材も少なく済みます。
また、大抵は1ヶ所での撮影であったり社内風景など自社で準備できる資料でまかなえたり、比較的安価で制作できます。
商品・サービス・アプリ紹介映像
商品やサービスの使用方法や動作方法を映像として紹介することで、サービスの情報を正確に伝えられます。消費者に使用感の具体的なイメージをさせたり、より魅力的に感じさせたりするのに効果的です。
商品を魅力的に映し出す撮影技術のほか、使用感の表現方法など構成技術も必要になります。映像時間自体は比較的短めですが、企画や編集にコストがかさむ傾向があります。
お客様の声・インタビュー映像
インタビュー形式の映像は、実際に使用した人の話や様子を伝えるもので、消費者が商品のメリットや使用感をイメージするのに効果的です。一度制作すれば、企業のホームページへの掲載や店頭の放映など活用できます。
凝った演出は必要ない場合が多く、映像時間も短めのものが多いです。撮影場所も1ヶ所であればコストも抑えられます。
マニュアル映像
マニュアル映像は、社内で使用する機器の利用方法や操作方法や、近年は商品の取扱説明書のDVDとして多用されています。
実写の場合は出演者を社員にしたり、アニメーションの動きを最低限にしたりすることでコストを抑えられます。写真のスライドを使用すれば撮影の必要もなく仕上がりも早いです。
施設・学校紹介映像
施設や学校紹介では、どのような紹介映像にしたいか、撮影時間、映像にテロップやアニメーションを使用するかなどを決めておきましょう。
こだわりが多いほど仕上がりはハイクオリティになり、利用者の興味を引く効果も高いです。また、一度制作したものはホームページに掲載したり学校説明会などで上映したり、何度も使用できます。
採用映像
企業が採用募集する際に、企業紹介や事業概要などを紹介するのに効果的なのが採用映像です。ホームページや転職サイトに掲載したり、SNSで配信したり多用に活用できます。オンラインでの説明会や案内にも便利です。
実写とアニメーションの組み合わせやCGを用いることで、実際の業務内容がより具体的に伝えられます。
教育研修・セミナー映像
研修やセミナー映像は社員が自分のタイミングで研修を受けられるため、研修を開く必要がなく密の心配も排除できます。セミナーに関してもオンラインが主流になりつつあり、需要が高まっています。
紙の資料では実際のイメージが伝えにくいほか、見返す際にも内容を探しにくいのが欠点です。チャプターをつけたDVDであれば、すぐに確認したい内容や振り返りたい内容を見つけられます。
自社で取り扱うもののため、魅力的に見せる必要がなく、編集や演出は他の映像制作よりコストを抑えられます。
社員総会・イベント映像
社員総会やイベント映像を残すことで、参加者の記憶により鮮明に残ります。また、本や冊子としてまとめるより実際の情景を記録できて、その時の様子や歴史を振り返る材料として有効です。
イベント時に流すイベント映像は、会場を盛り上げる効果や会社の理念や経営者の想いを魅力的に演出できます。
アップテンポな映像や自社にあった映像を制作することで、作りたい社内イメージをより印象付けられます。
IR(インベスター・リレーションズ)映像
IR映像とは、企業が投資家に対して企業業績や経営状況などの情報を伝えるための映像です。決算期説明会や企業のWebサイトで配信するもので、既存の投資家はもちろん、新規顧客の獲得にも役立ちます。
現在の業績や今後のビジョンにストーリー性を持たせたりメッセージ性を高めたりすれば、共感や感動を得やすく、イメージ向上効果も高いです。
映像制作の工程ごとにかかる費用相場
映像制作には、映像の種類だけでなく、完成するまでの工程でもコストが異なります。
映像制作にはさまざまな工程がありますが、企画、撮影、編集が主な作業工程です。その中でもどの程度のクオリティを求めるかで、コストに大きく影響します。
企画制作費
企画では、依頼者とのヒアリングの上、映像の内容や長さ、構成を決定し、それに沿って実際の制作計画を立てます。企画の費用相場は10〜50万円で、プロデューサー費やディレクター費などの人件費や企画構成費が含まれます。
撮影・映像制作費
撮影や映像制作では、映像の表現方法や特色によって費用相場が異なります。実写撮影の場合は、10〜300万円が相場で、撮影日数やスタッフ、機材の数や種類により異なります。
アニメーション映像では、イラスト作成費として5〜50万円、3DCGを使用すると30〜200万円かかります。イラストを新規で書き起こしたり、よりリアルに作り込んだCGを制作したりすると費用は加算されます。
編集技術費
編集では制作した映像にBGMやナレーションをつけたり、映像のカットやシーンをつなぎ合わせたりします。
編集作業にかかるコストは、実写の場合が比較的安く10〜50万円、アニメーションでは20〜100万円、編集に時間がかかる3DCGでは60〜300万円が一般的な相場です。
依頼先別の費用相場
映像制作の依頼先を変えるだけでもコストは大きく異なります。主な依頼先は、広告代理店、映像制作会社、フリーランス映像クリエイターです。ただ、期待できる効果や仕上がりが異なるので注意が必要です。
広告代理店では、映像制作を外部委託するためもっとも高額になります。映像だけでなくテレビCMやPRを一緒に依頼する場合におすすめです。
映像制作会社に依頼すれば、企画から工品まですべて任せられ、一定以上のクオリティが保証されています。費用相場は30万円からで、映像制作の知識がなくても安心して任せられます。
個人のクリエイターは映像制作の一部を請け負っている場合が多く、大掛かりな映像制作は難しいです。また、作品のクオリティのリスクもあるため、自社でリスクコントロールが必要です。制作費用は1〜15万円程度に抑えられます。
映像制作の費用は目的や用途によって変わる
映像制作費用は制作会社や制作内容、撮影規模、スタッフのスキルや経験値などによって大きく異なります。目安として安い場合には10万円程度、高い場合には100万円以上を想定しておくとよいでしょう。
料金が安い場合、依頼者が期待するような撮影技術を持ち合わせていなかったり、編集などの作業は対象外だったりする場合もあります。外注する際には、費用とサービス内容のバランスを確認しながら、会社を選出することが求められます。
映像制作の費用を抑える方法
動画制作を構成する作業は、前述の通り「企画」「撮影」「編集」の3つです。企画の段階で動画のコンセプトを定めおおまかなシナリオを用意します。次に撮影の段階でシナリオに沿った素材(映像と音)を用意します。そして最終段階の編集で、シナリオ通りに素材を並べて、より視聴者が楽しめるように効果音や字幕などを挿入するといった演出を施します。
これら3つの段階をそれぞれ見直すことでコスト削減が可能です。もっとも効果的な方法は外注していた業務を自社で行うことです。企画部分を自社で行う場合、動画のコアコンセプト・構成・シナリオ作成、動画制作スケジュール、動画構成に必要になる素材のリストアップなどの業務が該当します。
ただし多くの予算をかけて制作する動画などの場合、制作に携わるスタッフが増えるため、全体の調整が難しくなります。また、動画を流す媒体に合わせて「どのような動画が適しているか」が異なります。
SNS広告の場合、最初の数秒でユーザーの興味を引くようなインパクトの強い絵を用意することで、動画の視聴時間が伸びやすくなるでしょう。また、マナーモードで利用するユーザーに対して、音がなくても主張が伝わるようなコンテンツであることも大切です。
撮影の段階でコスト削減する場合には、撮影機材や撮影者の人件費に焦点をあてることになります。荒い画質や手ブレした映像をあえて採用することで、場合によっては斬新な印象を与える効果も期待できます。そのほかにも、素材サイトを利用することで撮影にかかるコストを抑えることも可能です。
最後の編集段階では、動画編集を社員に覚えてもらうことになります。凝った編集を必要としない、SNS投稿用などの動画であれば、専門知識のない社員であっても充分対応可能です。
費用を抑えて制作依頼するポイント
コストを抑えるためには、すべてのクオリティの高さを求めず、外せないポイントを絞ることです。依頼する前に映像を作る目的を明確にすれば、削れるポイントが決めやすくなります。
コストを抑えられるポイントを紹介します。
最適な制作会社を選ぶ
制作会社によって制作イメージや得意なジャンルが異なるため、自社の希望する映像制作が期待できる依頼先を選ぶ必要があります。
依頼先の得意とする分野の映像制作と合致すれば、コストを抑えて質の高い映像を制作してもらえる可能性も高いです。
要望や目的を明確にする
映像を制作する目的や期待する効果を明確にし、制作会社に的確に伝えることで、より理想に近い映像を制作できます。
予算やクオリティは仕上がりの満足度を左右する要素になるため、初めのヒアリングで希望をしっかり伝えておくことが重要です。撮影に進む前に納得のいく構成になるまで確認しましょう。
自社でできる作業は準備する
制作に必要な素材や撮影場所、出演者など、すべてお任せしてしまうとかなりのコストがかさみます。自社で準備できるものは提供すればコストを抑えられます。
撮影や編集は経験がなければ難しいですが、企画は自社であらかじめ構成を練っておくことも可能です。撮影のみ、編集のみであれば、比較的安価で外注できます。
実写よりアニメーション
すべてではありませんが、出演者や撮影が必要になる実写よりアニメーションの方が安価で済む傾向にあります。もちろん、高品質な映像や演出をすると高額になるので注意してください。
映像の尺を短くする
映像時間が長いとその分費用は高くなります。近年はTikTokなどのSNSとの相性の良いショート動画の組み合わせで利用されることが多く、ユーザーにも短い映像が好まれます。
まとめ
映像制作にかかる費用について、料金の相場と費用を抑える方法をご紹介しました。映像を制作する場合、どのような映像を制作するのかというゴールを明確にすることが大切です。ゴールに向けて映像の制作頻度、具体的な内容の掘り下げが可能になります。
映像制作にかかる費用相場は、映像の用途・目的別で異なります。また、依頼先や作業工程でもかかるコストは異なります。
依頼する際には、どのような映像を作りたいのか、利用する目的や期待する効果をあらかじめ明確にしておくことで、抑えられるポイントも絞れます。
すべてのクオリティを上げるとコストがかさみます。コストを抑えつつ質の高い映像を制作するためには、自社にとって外せない箇所を明確にし、抑えられる所を削ってみてください。
誰に届けたいのか、どのような印象を与えたいのか、どのような表現手段を採用するかによって、適した撮影方法や映像の構成が決まります。映像の制作は常に外注するのではなく、自社でも制作可能な部分を担当したり、素材サイトを効率的に利用したりすることで費用を抑えることも可能です。